「大企業とベンチャー企業、どちらの方向で就活をしようか迷っています」

「大企業とベンチャー企業、どちらの方向で就活をしようか迷っています」

先日、うちの会社に来ていたインターン生から、こんな内容の相談を受けた。その時は、「リーマンショック以降、一般的に安定しているといわれる大企業でも、一寸先に何が起こるか分からない。ゆえに、数万人いる社員の中のひとりとしてはたらくよりも、小さなベンチャーで、ある程度、責任割合の大きいとこではたらく方が、有無をいわさず成長しないといけない環境だから、長期的に見ると、実は安定した暮らしをするための最短ルートだと思う」というようなことを答えた。

これは本心で、自分が新卒一期生として、当時は設立2年のフェーズであった会社に飛び込んだ理由のひとつでもある。

しかしながら、ぶっちゃけ、どちらを選んだとしても、苦労もあれば楽もある。隣の芝は限りなく透明に近いブルーに見えるものだ。実際、定時帰宅や有給休暇など整った福利厚生の話を聞くと、正直羨ましく思うこともある。

だが、自分自身、今のやっている仕事は確かに辛いこともあるが、総合的に判断して、「楽しい」と感じている。だから、冒頭の就活生にも、そういった親ベンチャー派の立場から助言をした。

また、就職氷河期といわれる時代にもあり、有名大学の出身というだけで、誰しもが当たり前のように大企業に就職できるような時代でもなくなってきた。それこそ、新しい産業やサービスを生み出し、雇用を活性化させる必要もあるだろう。だから、一定の厳しい選抜試験を経て大学へ進学してきた人たちこそ、積極的にベンチャーNPOに飛び込み、ある種、閉塞的な空気に覆われている日本を共に元気にしていって欲しいと考えている。・・・とかいうと、なんだかイケイケのベンチャー風ですが、酒を飲んで気分が高揚している時などには、ぬるっと程度に、そのようなことを考えたりしています。

「はたらく」を考える。

それにしても、久しぶりにはじめたブログの最初のテーマに、こんな話を持ってくるあたり、自分も社会人になったと思う。

振り返ると、大学を卒業して、小学校6年間+中学校3年間+高校3年間+予備校1年間+大学4年間の17年間に渡る学生生活を経て、この春からやっとこさ社会人となり約6ヶ月程度が経った。

まだまだ社会人としての経験は少ないとはいえ、学生時代の時からアルバイトやインターンなどで社会と接点を持つこともあったので、それらの経験も踏まえ「はたらく」について考えてみたい。

「はたらく」とは何か。

諸説あると思うが、ひとまず「Google」先生に聞いてみた。

「はたらく」と検索をすると、約 8,200,000 件のWebサイトが引っ掛かる。1ページ目には、enJapanのアルバイト求人サイト、東京都の雇用に関するサイト、某CAの渋谷ではたらく藤田社長のアメブロhttp://ameblo.jp/shibuya/)などが表示される。

さすがは、Google先生、「はたらきたい」と思っている人に役立つ情報を検索結果の先頭に表示してくれている。だが、今回の記事で知りたい情報とは、やや趣が異なるので、改めて、「大辞林」という辞書を使って調べてみた。

【はたらく】

(1)肉体・知能などを使って仕事をする。一生懸命にする。

(2)職業・業務として特定の仕事をもつ。

(3)機能を発揮する。効果・作用が十分現れる。

「はたらく」の意味を辞書的に引っ張ってくると、「仕事をする」や「仕事を持つ」という意味として定義されている。となると、気になるのは、「仕事」ってつまりどういう意味?というところ。ついでに調べてみた。

【しごと】

(1)するべきこと。しなければならないこと。

(2)生計を立てるために従事する勤め。職業

「するべきこと。しなければならないこと。」とは、なんとも現実的で重たい定義である。たまればたまるほど、辛くなるのが仕事ですよ(笑)そして、注目すべきなのは、(2)の最後。「職業」が「仕事」を意味するものとして記述されている点だ。全くもってその通りで、少なくとも一般的な日本人にとって、「はたらく」を考えることは、何の「職業」に就くのかという選択を意味するのと同義である。

幼稚園や保育園の子どもたちが「将来は何になりたいの?」という問いかけに対して「お花屋さん!」、「パトカー!(警察庁都道府県警察に置かれる公安職の警察職員)」、「仮面ライダー オーズ!!(地球的治安維持のための民間団体職員)」といった選択をするのにはじまり、高校の進路選択における「文系か理系か」という選択、就活生の「自分の特性は大企業とベンチャー起業のどちらにマッチングするのか」という選択や「人の三井か組織の三菱か」という贅沢な内定受諾の選択に至るまで、我々は常に「はたらく」を考えている。

否、どんな「職業」に就くのかを選択する人生を歩んでいる。


職業選択は、「はたらく」の対象を決めるということ。

さて、職業の選択とは、どういったものか。

職業を選ぶということは、すなわち、「どんな対象に、どんな商品やサービスを、どんな価格で提供したいか」を決めることだ。もう少し平たい言葉でいうならば、「誰をハッピーにしたいのか」ということと同じだ。

不思議なもので、人は他者を幸福にすると、自己の達成感や充実感をも得ることができ、自分自身も非常に満たされるようにできている。もちろん、例外もあるだろうが、少なくとも僕自身はそのようにできていた。そのため、「はたらく」の客体となりうる存在、つまり、「その職業のお客さんは誰なのか」ということを突き詰めて考えることは、職業選択の際に非常に重要なファクターとなる。

というのも、「はたらく」ということは、時に「100件のアポ電話をかけること」であり、時に「夜を徹して納期までの資料を作成すること」であり、時に「営業数字の達成プランが甘いと上司にド詰めされること」であり、時に「死にたくなるほど過酷」であるためだ。自分が本当に貢献したいと思える対象や使命感をもって取り組める事柄でなければ、自らの命を削りながら40年間の職業人としての人生を過ごすのと同義である。

そんな絶望的なことはないだろう。

だからこそ、どの職業を選ぶのか、すなわち、「誰をハッピーにしたいのか」を考えることは、「はたらく」を考える上で忘れてはならないことのひとつなのだ。


誰を幸福にしたいか。

これについては、また今度、考えることにします。おやすみ。